じいの極楽と俺の最悪。
血流が悪くなるので、今はない。
時間が沢山あった若き頃。
経験したであろう、腕枕。
目を覚ますと、腕を枕に彼女の寝息。
守ってあげたい、彼女の未来。
ちょっと開き加減の口元に
躰の芯に残っている鈍い疲れも吹っ飛んでしまう。
彼女の寝顔。
嗚呼!なんて、しあわせなんだろう。
スポーツクラブに行って汗を流す。
サウナに入って、湯船に浸かって最後はマッサージ機で締める。
そう、僕の小っちゃな至福フルコースなのだ。
が、
至福を奪いとる、「じい」が居る。
クラブオープン時から居ると思われる地元の主が。
2台あるマッサージ機。
片方を己の昼寝用ベットとして使用しておるのだ。
ももひきのママ、1時間ほど身動きせずに昼寝をされておる。
その寝顔は正に、小学生の時に見たおじいちゃん最後の顔なのだ。
お通夜の時の顔!
お花に囲まれたおじいちゃんの顔!
口が大きく開け放たれ、縮れた毛髪と、ツヤのない肌。
息をしているのか心配して、
クラブのおっさんが口元に手を
かざしていたのを見たこともある。
だれも注意できない、地元の長老「じい」。
目を覚まさない、口を開けた「じい」のイビキ。
守ってあげたくない、未来が近い「じい」。
俺の至福の邪魔をする、「じい」の寝顔。
嗚呼!極楽、「じい」の寝顔。
嗚呼!最悪、今日の俺。
なんて、こった。
残り時間、少ないのわかるけど。ルールは守ろうよ。おひとり様、極楽は15分。
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▲ダークサイドなMAREBITO主。茅場町に居ます。
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